外に出たとたん、体中がもえるように熱くなりました。まわりはどこも火の海で、これまで見たことのない光景でした。そばには真っ黒に焼けこげた棒のようなものがたくさんたおれていました。その中を、大やけどやけがをして、血だらけでボロボロになった服を引きずりながら大勢の人がにげまどっています。
何が起きたのかわけがわからず、一瞬だったのか長い時間だったのか、二人はただただボーっとしていたように思います。
すると、顔もわからないほどの大きなやけどをおって、今にもたおれそうに足を引きずっている人が、「清ちゃーん」と力なくよりかかりました。
「誰?」
同級生の高木さんでした。やけどは顔だけではありません。体中が血まみれです。高木さんは「熱い、熱い。いたい、いたい」と立っているのもやっとです。
「川へ逃げろー!」
「川へー! みんな早よう川へ逃げろー!」
大きなどなり声がしました。その声を聞く間もなく、校庭のすぐわきの本川に向かって次々と人が流れこんでいました。その人の波に乗ってにげるしかありません。清子さんと和子さんは、今にもたおれそうな高木さんのかたをやっとの思いでかかえ、はうように川のそばに行き、いっしょに足から水の中に飛び下りました。