本川国民学校は、当時はまだめずらしい鉄筋コンクリート造りの、アーチ型の窓が白くかがやくモダンな校舎でした。長い伝統をほこる歴史とこのきれいな校舎が、子どもたちや地域の人たちの自慢でした。
学校のすぐ前を流れる本川の向かいには、広島県物産陳列館(のちの原爆ドーム)が建っていて、広島の文明の中にある学校であることも、清子さんたちにはほこらしく思えることでした。
学校に着いた二人は、門を入った所にある奉安殿にいつものように深々とおじぎをすると、校舎一階の下足場へ走りました。
「和ちゃん、早ようかばんをおいてきて遊ぼう! 早よう!」
🍀 奉安殿には天皇陛下、皇后陛下の写真と「教育勅語」がかざられていて、登下校時には必ずあいさつをすることになっていました。当時は日本中の学校に設置されていました。