本川をつたえて - 20/21

広島原爆の日の前夜である8月5日には毎年、本川小学校の平和資料館前で本川地区原爆慰霊祭が行われます。

この慰霊祭では、本川小学校の児童と保護者、地域の人がいっしょに作った灯篭に灯を灯して、原爆で亡くなった人を追悼し、世界の平和を願い、静かに手を合わせます。

平和学習に取り組んでいる子どもたちのすがたに安堵した清子さんは、多くの御霊に話しかけるように長い時間いのりました。

「原爆で亡くなられたみなさん、ご安心ください。子どもたちが平和な世の実現のためにきっとがんばってくれると思います」

 

暗闇を照らすやわらかな灯篭の灯が、清子さんと子どもたちのすがたをおだやかにつつんでいました。

 

 

🍀【死亡人数】広島の原爆によってその年の12月末までに死亡した人は、約14万人と推定されています。

【清子さん死亡】清子さんは、それから11年後の2016年4月2日、夫の公照さんや親しい人たちに見送られながら波乱に満ちた82年の生涯を静かに閉じました。そして、清子さんの遺体は「放射能被害の研究に役立ててほしい。」という本人の遺志の通り、病理解剖されました。