本川をつたえて - 14/21

公照さんと仲良くくらしていた清子さんに、待望の赤ちゃんができました。ところが、おなかの中で亡くなるという悲しい出来事が2度も続きました。

それから10年たったある日、とつぜんおなかにはげしいいたみがおそってきてたおれ、救急車で病院に運ばれました。くわしい検査の結果、すい臓がんであることが分かりました。

その後、次々と大きな病気がおそうようになりました。

甲状腺がん、大腸がん、さらに脳も腫瘍におかされることになったのです。8度もの大きな手術やつらい治療を30年の間くりかえしました。

最初にすい臓がんが見つかった時から、清子さんの体は原爆の影響をつきとめるために、広島大学原爆放射医学研究所での研究の対象となりました。

 

清子さんの体のたくさんのがんは、明らかに原爆の放射能がその原因だと考えられました。

 

闘病生活をくりかえしながら、

(こんな病気だらけの体をかかえて苦しい思いをして、夫に迷惑をかけてまで、わたしはどうして生きているのだろうか?)

(こんなわたしに生きる意味があるのだろうか?)

と、ふさぎこむことが多くなりました。

 

🍀 被爆後10数年たってから病気となって出てくる急性白血病や流産、各種のがんのことを「晩発性障害」というのだそうです。